課題の解決方法を提案します★超純水製造に使用するイオン交換樹脂から溶出する超微量金属の評価方法

超純水の製造に欠かせないイオン交換樹脂

金属・イオンなどの不純物を徹底的に排除した超純水は、半導体などの製造工程で欠かせないものであり、超純水の製造にはイオン交換樹脂が必要不可欠です。

実際の超純水製造装置の最終工程(ポリッシング)では、強酸性カチオン交換樹脂と強塩基性アニオン交換樹脂をほぼ同じ当量比で混ぜた混床型イオン交換樹脂が用いられます。しかし通水処理において混床型イオン交換樹脂そのものから溶出する微量金属も、極力低くなるように抑えなければ処理水の純度が向上しません。そのため、使用する樹脂から処理水に溶出する微量金属濃度を、事前に正確に評価することが求めらます。

 

処理水に溶出する超微量金属

樹脂からの金属溶出の程度は通常、金属濃度をppt(=ng/L=10-9g/L)以下に下げて純度を上げた試験用超純水(ブランク水)を用意し、評価される混床型イオン交換樹脂にブランク水を通水し、通水処理前後の金属濃度を測定し、その差を求めることで得られます。

超純水の微量金属濃度は、高い感度をもつ誘導結合プラズマ質量分析計(ICP-MS)でppt以下まで検出できますが、通水処理試験で用いられる装置・部材、また周辺空気が試験水の金属汚染の原因になる場合が多く、これらは正確な濃度測定を妨害します。すなわち、使用機材の徹底的な事前洗浄や、周辺空気の塵などの混入(コンタミネーション)を排除した環境で採水するなど、徹底的な金属汚染対策が必要です。

 

通水試験に使用する装置の構成

イオン交換樹脂の通水試験に使用する装置は、樹脂を詰める専用カラム・配管・配管接続部品・切替バルブ・送水ポンプ・タンク等で構成された水循環装置が基本です。専用カラムに循環用混床型イオン交換樹脂を詰めて、水を装置内で循環させて金属濃度を検出下限値以下に低減させたブランク水を用意します。

ブランク水はタンクに一時的に貯留され、評価するイオン交換樹脂に一定時間通水して分析用処理水を採取しますが、ブランク水と処理水を分析装置に移送するための採水容器も必要です。この容器は採水前に徹底的に洗浄してからクリーンルームなど清浄な閉鎖空間に静置され、採水中に周辺空気の塵などを巻き込まないよう、配管から処理水を連続的に容器に供給して採水します。

 

超純水用混床型イオン交換樹脂を用いた通水試験

このように微量金属のコンタミネーションを極力排除した方法・装置を確立し、当社の代表的な超純水用混床型イオン交換樹脂であるPurolite® UltraClean UCW9126及びPurolite® UltraClean UCW3701を用いて通水試験を実施しました。表の分析結果に示す通り、すべての金属濃度が分析装置の検出下限値以下、すなわち樹脂からの金属溶出はpptレベルで問題ないことが確認され、いずれの樹脂も超純水製造工程に適用可能と評価されました。

金属 検出下限値
(ppt)
溶出濃度(ppt)
Purolite® UltraClean
UCW9126
Purolite® UltraClean
UCW3701
Ag 0.5 <0.5 <0.5
Al 0.2 <0.2 <0.2
As 2 <2 <2
Au 0.2 <0.2 <0.2
B 4 <4 <4
Ba 0.1 <0.1 <0.1
Be 5 <5 <5
Bi 0.2 <0.2 <0.2
Ca 2 <2 <2
Cd 0.3 <0.3 <0.3
Co 1 <1 <1
Cr 1 <1 <1
Cu 0.5 <0.5 <0.5
Fe 0.5 <0.5 <0.5
Ga 0.5 <0.5 <0.5
Ge 2 <2 <2
In 0.1 <0.1 <0.1
K 2 <2 <2
Li 0.02 <0.02 <0.02
Mg 0.2 <0.2 <0.2
Mn 0.3 <0.3 <0.3
Mo 0.3 <0.3 <0.3
Na 0.5 <0.5 <0.5
Nb 0.1 <0.1 <0.1
Ni 0.7 <0.7 <0.7
Pb 0.1 <0.1 <0.1
Pd 0.3 <0.3 <0.3
Pt 0.2 <0.2 <0.2
Sb 0.3 <0.3 <0.3
Sn 0.8 <0.8 <0.8
Sr 0.05 <0.05 <0.05
Ta 0.1 <0.1 <0.1
Ti 2 <2 <2
Tl 0.1 <0.1 <0.1
V 1 <1 <1
Zn 2 <2 <2
Zr 0.1 <0.1 <0.1