課題の解決方法を提案します★イオン交換樹脂による水道水の微量PFOS及びPFOAの除去

イオン交換樹脂による水道水・飲料水の微量PFOS及びPFOAの除去

厚生労働省は水道水の水質管理目標設定項目と目標値に、「ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)及びペルフルオロオクタン酸(PFOA)の和として0.00005mg/L(50ng/L)以下」を追加し、2020年4月1日から施行されました1)。また6月に全国の浄水場において処理水のPFOS及びPFOAの合算濃度を調査した結果、暫定目標値50ng/Lを超えた浄水場はありませんが、東京都の5カ所の浄水場では10~30ng/Lの範囲で検出され、地下水を原水とする都市部の浄水場で高い濃度が報告されました2)

浄水場でのPFOS及びPFOA低減対策には活性炭や膜分離(RO膜・NF膜)が使われていますが、膜分離は分離濃縮水の高濃度PFOS及びPFOAの処理に課題が残るため、安価で既存処理装置にも用いられている活性炭による処理が一般的です。原水に50ng/L以上のPFOS・PFOAが混入している場合では活性炭処理である程度の濃度まで低減することはできますが、共存する有機物濃度が高い場合にはこれらも同時に吸着してしまうため、PFOS・PFOAの除去率は短期間で低下し、処理水のPFOS・PFOA濃度が原水に近い濃度まで上がってきます。

イオン交換樹脂も水中の微量有機フッ素化合物を選択的に吸着することができますが、脱塩用の標準的なイオン交換樹脂では活性炭に比べて除去率が低い場合があります。Purofine® PFA694Eはゲルタイプ・スチレン系母材のアニオン交換(陰イオン交換)樹脂で、PFOS・PFOAを含む微量有機フッ素化合物を選択的に吸着する製品として開発しました。

Purofine® PFA694Eの特徴:

  • 水中のppt(ng/L)レベルの微量濃度のPFOS・PFOAを検出下限値以下まで除去
  • 活性炭に比べ数倍以上の交換容量を持つため、長期的に安定した除去性能を維持
  • 他の共存有機物による微量PFOS・PFOAの吸着妨害の影響が、活性炭より小さい
  • イオン交換と樹脂母材への吸着による2つのメカニズムにより強固に固定し、かつ脱着しにくい
  • 交換速度が極めて速いため、少ない樹脂量かつ高い流速でも除去性能を発揮
  • 米国NSFによる飲料用途認可(NSF/ANSI Standard 61)
  • 米国FDAイオン交換樹脂製造指針に適合(食品添加物に関するCFR 21 パラグラフ25)

表1 Purofine® PFA694E 一般物性

母体・外観 ゲル型スチレン系・球状粒子
官能基 複合アミノ基
粒度分布
平均粒径 675±75μm
均一係数 1.3以下
適用温度(Cl形) 100°C

適用実施例:

活性炭とPurofine® PFA694E を組み合わせた井戸水のPFOS・PFOA除去システム(図1)と、処理水のPFOA+PFOS合算濃度の経時変化(図2)を紹介します。既存の活性炭処理だけでは突発的にEPA規準値(70ng/L)を越える濃度変動を抑制できず、また運転開始から50日経過すると濃度が徐々に上昇してPFOS・PFOA除去率が著しく低下していることがわかりました。そこで活性炭処理の後段に、PFOS・PFOAの吸着に対する選択性の高いPurofine® PFA694Eを追加して処理すると、約500日間は検出下限値(合算値2.5ng/L)以下の安定した処理水が得られました。

活性炭では取り切ることができないPFOS・PFOAを、Purofine® PFA694Eは活性炭の半分の量で、なおかつ約3分という短い接触時間でも、10ng/L以下に抑え込むことができることが実証されました。また使用後のPurofine® PFA694Eはそのまま焼却処理することで、吸着したPFOS・PFOAも分解することができます。

図1 適用実施例:処理装置のフロー

図2 適用実施例:処理水のPFOA+PFOS合算濃度の経時変化

出展

  1. 厚生労働省 水質管理目標設定項目と目標値(27項目)
    https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/topics/bukyoku/kenkou/suido/kijun/kijunchi.html
  2. 厚生労働省 水道水におけるPFOS及びPFOAの調査結果(令和2年6月)
    https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000638290.pdf