ピュロライト独自のコア・シェル型カチオンおよびアニオン交換樹脂
Purolite® SSTシリーズは、Shallow Shell™という「コア・シェル型」の特殊な構造を有するピュロライト社独自のユニークなイオン交換樹脂です。
SSTシリーズは、樹脂の中心部分（コア）に官能基が付加されていない不活性構造を持つことが最大の特徴で、強酸性カチオン交換樹脂、弱酸性カチオン交換樹脂および強塩基性アニオン交換樹脂がラインナップされています。
コア・シェル型製品 SSTシリーズの断面写真と構造イメージ
一般的なカチオン交換樹脂との違い
一般のカチオン交換樹脂は、再生操作で除去できない鉄などの重金属が樹脂内部に蓄積し、母体架橋構造が経時劣化を起こして脆性破壊されてしまいます。しかしコア・シェル型の構造を持つPurolite® SSTシリーズのカチオン交換樹脂は、中心部が不活性で汚染因子を蓄積しないことから、高い汚染耐性と耐酸化性が期待できます。
また一般的なカチオン交換樹脂は、通水時に内部から徐々に漏れ出るカルシウムやマグネシウム等が処理水の水質を低下させる現象がみられますが、Purolite® SSTは内部に金属成分を蓄積せず、安定かつ良好な水質を得ることができます。
Purolite® SSTシリーズの特徴
樹脂ビードの中心部分に官能基が付加されていないPurolite® SST製品は、中心部まで再生する必要がありません。このため、再生時の薬剤拡散は官能基を付加した部分のみ、すなわち内部への拡散距離が短くなり、標準的なイオン交換樹脂に比べて少ない薬剤で、しかも短時間で再生が完了します。Purolite® SST製品の再生は、標準品に比べて薬剤使用量で10-30%（並流再生）、洗浄水使用量は40-50%も低減することが可能です。
既存の並流再生装置でご使用中のカチオン交換樹脂をPurolite® SSTのカチオン交換樹脂に入れ替えることで、薬剤等の使用量を削減でき、処理水の水質も安定することが期待できます。
Purolite® SSTは、全ての樹脂ビードが同じ深さの官能基付加層を持ちます。樹脂ビード半径に対する官能基付加層と深さの比を0.6とすると、樹脂ビード1粒あたりの官能基付加層の体積比は0.936と計算されます。すなわちこれは、官能基の付加されない部分が樹脂ビードの中心部分の直径比約40%を占めていても、一般的な樹脂と比べて総交換容量が約6-7%しか低下しないことを示しています。
Purolite® SSTシリーズの一般物性
Purolite® SSTシリーズ製品には、各種粒度分布調整グレードおよびイオン形転換グレードがあります。
強酸性カチオン交換樹脂：SSTC60、SSTC80DL
| 品種 | SSTC60 | SSTC80DL |
|---|---|---|
| ポリマー種別および母体 | ゲル型・スチレン系 | ゲル型・スチレン系 |
| 官能基 | スルホン酸基 | スルホン酸基 |
| イオン形（出荷時） | Na+ | Na+ |
| 見掛密度（概算値） | 775 – 825 g/l | 775 – 825 g/l |
| 水分含有率 | 36 – 46%（Na形） | 42 – 47%（Na形） |
| 膨潤率（Na形→H形） | 6%以下 | 7%以下 |
| 比重（Na形、湿潤樹脂） | 1.20 | 1.20 |
| 総交換容量 | 3.8 eq/kg以上 | 4.0 eq/kg以上 |
| 粒度範囲 | 300～1,200μm | 425～1,000μm |
弱酸性カチオン交換樹脂：SSTC104
| 品種 | SSTC104 | |
|---|---|---|
| ポリマー種別および母体 | ゲル型・アクリル系 | |
| 官能基 | カルボキシル基 | |
| イオン形（出荷時） | H+ | |
| 見掛密度（概算値） | 710 – 760 g/l | |
| 水分含有率（H形として） | 34 – 44% | |
| 膨潤率 | （H形→Ca形） | 20%以下、実際運転時には約7% |
| （H形→Na形） | 50%以下 | |
| 比重（H形、湿潤樹脂） | 1.17 | |
| 総交換容量（H形） | 6.6 eq/kg以上 | |
| 粒度範囲 | 300μm～1,600μm | |
強塩基性アニオン交換樹脂：SSTA63、SSTA64
| 品種 | SSTA63 | SSTA64 |
|---|---|---|
| ポリマー種別および母体 | ゲル型・スチレン系 | ゲル型・スチレン系 |
| 官能基 | Ⅱ型・4級アンモニウム基 | Ⅰ型・4級アンモニウム基 |
| イオン形（出荷時） | Cl– | Cl– |
| 見掛密度（概算値） | 680 – 720 g/l | 670 – 710 g/l |
| 水分含有率（Cl形として） | 37 – 45% | 43 – 51% |
| 膨潤率（Cl形→OH形） | 10%以下 | 20%以下 |
| 比重（Cl形、湿潤樹脂） | 1.12 | 1.08 |
| 総交換容量（Cl形） | 2.6 eq/kg以上 | 2.7eq/kg以上 |
| 粒度範囲 | 300μm～1,200μm | 300μm～1,200μm |