Puromet™ MTA1011を用いた酸溶液中のモリブデン回収
Puromet™ MTA1011は弱塩基アニオン交換基を官能基とする、マクロポーラス・スチレン系のイオン交換樹脂です。モリブデンへの高い選択を持ちながら、NaOH溶液やアンモニア水による再生・溶離が可能です。
Puromet™ MTA1011は、液中に混在する有機物による汚染を受けにくく、オスモティック強度(膨潤収縮強度)が非常に高い樹脂です。高濃度のTDS(総溶解性固形物)を含む原水に対しても、高い運転交換容量を示します。原水は低pH・酸性サイドの方が適します。再生においては、予め原液組成を把握した上で、再生薬液および液温を最適化することで、高い再生効率が期待できます。
表1 Puromet™ MTA1011一般物性
ポリマー種別・母体 | マクロポーラス型・スチレン系 |
外観 | 球状ビード |
官能基 | 3級アミン及び4級アンモニウム |
イオン形(出荷時) | Cl–形 |
総交換容量 | 3.5 eq/kg 以上 |
水分含有率(Cl–形) | 45 – 53% |
粒度範囲 | 800 – 1,300μm |
湿潤ビード比重 | 1.06 |
見掛密度 | 645 – 665g/L |
耐用温度(Cl–形) | 100℃ |
耐用温度(FB形) | 60℃ |
Puromet™ MTS9840を用いたモリブデン溶液の精製
天然のモリブデン鉱石にはタングステンが混在するため、酸で浸出した溶液にもタングステンが微量に含まれることがよくあります。モリブデンとタングステンは化学的挙動が類似しているため、モリブデン溶液から微量のタングステンを除去することは困難です。
Puromet™ MTS9840はポリアミンを官能基に持つ、マクロポーラス・アクリル系のキレート樹脂です。この樹脂にモリブデン溶液を通液すると、主にタングステン等の液中に混在する不純物を効率的に捕捉するため、溶液のモリブデン純度を向上させることができます。温度耐性は低いものの、オスモティック強度(膨潤収縮強度)が高いので、高濃度モリブデン溶液の常温処理に適用できます。また使用後にアンモニア水で再生することで容易にタングステンが溶離され、樹脂を繰り返し使用できます。
表2 Puromet™ MTS9840一般物性
ポリマー種別・母体 | マクロポーラス型・アクリル系 |
外観 | 球状ビード |
官能基 | ポリアミン |
イオン形(出荷時) | FB形 |
総交換容量(FB形) | 2.7 eq/L 以上 |
水分含有率(FB形) | 48 – 58% |
粒度範囲 | 300 – 1,200μm |
均一係数 | 1.7以下 |
最大膨潤率 FB→Cl– | 20%以下 |
湿潤ビード比重 | 1.10 |
見掛密度 | 690 – 725g/L |
耐用温度 | 35℃ |